住宅設備・IOT 

新築住宅の建築計画!開放感のある吹き抜け・リビング階段は要注意!

住宅展示場に行った事がある人は経験あると思いますが、開放的な吹き抜け空間やリビング階段がある家を見て新築住宅に住みたいと感じる人は一定数います。

私も住宅展示場を見学するのが好きなので理解できますが、吹き抜け空間窓から差し込む光や、高い天井の部屋はワクワクするので、生活風景を想像しして楽しくなりますよね。

また、吹抜けは開放感だけでなく、2階から吹き抜けを見下ろすと家族でくつろぐリビングが見えるため、家族の繋がりを感じる有効なプランニング手法ですよね。

リビング階段も同様で1階と2階をつなぐ上下階動線をリビングに設けることで、リビングにいても家族の居場所を感じることができる、そんなプランニングが可能です。

新築住宅には『吹抜け』や『リビング階段』を計画したいと思っている人も多いでしょう。

今回は『吹き抜けの建築計画は事前によく考えよう』というテーマで書いてみました。

吹抜空間・リビング階段の注意事項

吹き抜け・リビング階段のある家は冬場のリビングが寒い

皆さんは、この様な経験はありませか?お風呂の浴槽に溜まったお湯に浸かろうとした時、浴槽に手をつけたら暖かいので安心して浴槽に入ったら思ったより、お湯が冷たくてびっくりしたという経験です。

これは浴槽の中で暖かいお湯が上部に溜まり、冷えたお湯が下部に溜まっている状態が原因で、お風呂に入る前に手をつけて温かったのは上部のお湯だけだったという理屈です。

因みに、住宅の給湯設備の『電気温水器』や『エコキュート』のお湯を貯める貯湯タンク中でも同じ状況なっております。

タンクの中では上部に熱いお湯と下部の水を混合させて適温に調整したお湯が宅内で使用されております。

同一のタンクの中に給水される水と温めたお湯が入っておりますが、温度差により境界線が発生して上部にお湯と下部の水が入ってる状態なのです。

この温度分離は水だけで無く、室内の空気でも同じような事が生じます。

吹抜け空間の温度分布について

冬場の部屋では主にエアコンを使用する家庭が多いと思いますが、温められた空気は上昇し天井近くに滞留します。窓等で冷やされた空気は床付近に溜まろうとします。

『吹抜け』や『リビング階段』のある部屋では、リビングで温められた空気が2階へ上昇する為、1階のリビングでは吹き抜けでは寒いと感じる人が多いのです。

また、女性は冷え性の人も多い為、足元が寒いのは結構辛いです。室温は快適温度でも床付近が冷えるという住環境は多いのです。

コールドドラフトについて

『吹抜け』や『リビング階段』の暖気上昇による現象とは異なりますが、足元が冷える現象として『コールドラフト』も注意が必要です。

コールドドラフトとは、窓の位置と暖房器具の位置により、空気循環が生じる現象で誤った配置をすると足元に冷たい空気が流れ込んできます。

理屈としては
①窓で『冷やされた空気』が床面に向かって下降
②床面に沿って『冷たい空気』の気流が動く
③暖房機器により空気が上昇
④天井面を沿って『温かい空気』の気流が動く
→①②③④が循環されます。

この空気が循環する流れをコールドドラフトと言います。せっかく暖房機器を運転していても足元には冷えた空気が循環する為、体感としては寒く感じるでしょう。

この状況を改善する為には、大きな窓の手前に暖房機器を設置すると効果的です。窓で冷やされた空気を上昇させるので足元の温度環境が改善されます。

ちょっとした工夫で室内の環境が変わることも知っておくと良いですよね。

吹抜け空間を快適に使うには

①シーリングファンの計画
→吹き抜けを快適に使う為には、上昇した暖かい空気をシーリングファンを動かす事で室内の上部に滞留しないように分散する事

②輻射式暖房(床暖)を計画
→もっとと一般的な暖房機器としてエアコンを用いることが多いのですがエアコンは空気を直接温める暖房機器です。

電源を入れてから室内の暖房効果が早く現れる点はエアコンが優れておりますが、暖房の場合は足元が冷えやすい等のデメリットもあります。

これに比べて床暖房等の『輻射式暖房機器』は空気を直接温めるのでは無く、エアコンに比べて時間がかかりますが輻射熱により快適性が高くムラのない温熱環境が整います。

今回は、吹抜け空間を計画する前に知っておいた方が良いことをテーマに書いてみました。皆様の建築計画のお役に立てれば幸いです。