家造り

プロから見た住宅の欠陥!〈省令準耐火編〉

欠陥住宅といえば皆様は何を連想しますか?
構造ですか?雨漏りや給排水設備の水漏れですか?

最近、施工不備・施工不良として多いのは省令準耐火の工事なんです。理由は比較的新しい仕様であるため、未熟な施工技術者・管理が甘い住宅会社では適正な施工方法を理解しないまま工事を進めている状況も多い業界の実情があります。

最近は第三者機関に検査を依頼する施主も増えており、その中でも省令準耐火の施工不備の指摘が多く見られるそうです。

ヨロズヤ
ヨロズヤ
建築技術者としてスキルアップや、会社の人材教育ができていない組織は住宅の品質に影響するのでしょうね。

省令準耐火の施工とは

そもそも省令準耐火を工事する目的は何でしょうか?それは火災保険が安くなるというメリットがあります。
現在、火災保険は10年ごとに加入するのが一般的ですが台風発生の雨漏りなど家の損害をカバーする特約も多いため近年価格が上昇しております。
住宅ローンを組む場合、火災保険の加入条件を求められるため一般的に保険量を安く済ませたい人が多いのも理解出来ます。

省令準耐火の検査はない為、現場では見過ごされることも少なくありません。

まずは誰でも判断できる簡単な項目を上げてみます。

①石膏ボードのジョイント(継ぎ目)の裏に当て木が入っているか?
②ファイヤーストップが入っているのか?またはボードが梁まで貼ってあるのか?
③コンセント開口に鋼製で作られたBOXやカバーが使用されているのか?

実際の仕様書には天井や壁について細かく書いてあるので、建築の業務に携わっていない人は理解が難しいのですが、3つのポイントに絞って見れば以外にわかりやすいので是非参考にしてみてください。

今回の記事では①について少し掘り下げてみます。

①石膏ボードのジョイントに当て木が入っているのか?

石膏ボードを貼った裏側から見た写真です。この写真ではボードの継ぎ目にしっかりと当てき(木材)が入っております。一般的には厚み30mm以上の木材で当て木を設けます。

出典:住宅支援機構HP

一般的には石膏ボードの継ぎ目は下地をしっかり入れる為、当て木が入っていないケースは少ないかもしれませんが、簡易的にボードを繋ぐ部分に当て木を施工していない事があります。

 

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なぜ、当て木が必要なのか?

省令準耐火は火災時の被害を少しでも抑えるため、火災時の火が壁の中や天井裏に入らないように気を配った工事です。

石膏ボード自体は火に強い素材な為、継ぎ目や開口部からの侵入を防ぐ工事内容となっております。

いざ現場に行った際に、ボードの継ぎ目や開口部の処理が出来ているのか?こういった視点で物事を見ると施工不良の場所が一目瞭然でわかります。

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天井のジョイントも同じ(上階に床がある場合)

天井の石膏ボードジョイントも同様に、木材または一定の厚み以上の鋼板が入っていなければなりません。

天井ボードの継ぎ目に当て木や鋼板が入っていない事例。ビスの固定方法を見れば判断できる。

出典:住宅支援機構HP

イラストの通り、上階に床がある場合は天井の石膏ボードに当て木(鋼板)が必要になります。上の写真を見る限り何も入っていない事がわかります。

このように既に施工されて閉まった場合は、ダウンライト開口穴から天井裏を見るなど確認する方法がありますので、確認をしたほうが良いでしょう。

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ヨロズヤ
ヨロズヤ
建築業界のプロであれば一目瞭然で施工不良を判断できますが、普通の住宅購入者ではなかなか判断できず、施工不良にも気が付かず暮らしていることも少なくありません。少しでもお役に立てていただければ幸いです。

 

 

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